セルフコントロール練習お手本動画

犬のセルフコントロール(自制心)を伸ばすためのアプローチや練習方法は色々とあります。今回はその中のひとつ「マッテの強化」に関連した動画で、興奮しやすい刺激がある中でも、指示の通りに待機しつづける練習のお手本となるもの2つご紹介します。トレーニング中・上級者の方には実際の練習の参考に、トレーニング初心者の方にはいい目標になると思います。

周りに犬がいることは、大きなディストラクション(集中を妨げるもの)。さらに、近くにいる犬が動いていたり、興奮していたりすれば、犬の不安や興奮を呼び、集中することや落ち着いていることはより難しくなります。この動画では、他の犬たちが近くで動いていても、待機し続ける練習をしています。行動のキューを出された犬は、キューが意味する行動をするのが正解であり、それ以外の犬たちはそのまま動かないことが指示を守ることであり正解なので、この練習方法では参加している犬全員にその都度報酬が出ます。

impuls control Canine Company Dogs

by Brigitte van Gestel (Canine Company)

【解説】

報酬はトリーツそのものだけではない

その犬がそのとき欲していることが最大の報酬となります。じっとしているのが苦手だったり、じっとしている時間が長くて、動きたくて仕方ないという気持ちであれば「動いていいこと」が、トレーニングが好きで目の前で他の犬がやっているのを見て、やりたくてうずうずしていれば「仕事をして(指示されたことをして)報酬を得るという一連のこと」が、「動かずに待っていたこと(待機)」に対する大きな大きな報酬となり、待機を強化します。左から2番目のボーダーコリーは、どちらにも当てはまりそうですね。これは彼女にとってとてもいい練習に違いありません。

この練習の成功のポイント

個々の犬に出される動きの指示は、それぞれの犬がキューと行動を十分に理解し、練習を重ねて、周りに犬がいても簡単にできるもの。リズミカルに成功を重ねさせ、トレーニングを進めていることが、犬たちのの意欲と集中を助けています。

犬が正しく行動できなかったときの対処

動きたくて仕方ない左から2番目のボーダーコリーは、自分のマットに戻るキューと行動を理解しているはずですが、やりたい!動きたい!という気持ちが先に立ってしまい、1回目のセッションの後のマットに戻る指示で、マットの方に戻ってはいるものの、ハンドラーの方にマットから身を乗り出している状態になります。

その時、ハンドラーはトリーツをマットの中央へ置くことで、体の位置をずらさないと食べられないように提供し、姿勢を変えさせています。トリーツの与え方の工夫で、正しい場所を犬に伝えています。2回目のセッションの後の同じ指示では正しく戻れているので、この対処は適切だったと判断できます。

気付かなかったという方は、ぜひもう一度この点に注目して見てみてください。

犬が正しく行動しなかったときの対処方法は様々あり、その犬の行動の習熟度、実施する環境、その時の行動の達成度合いによって適切な方法は違い、同じ犬であっても常に変化します。(当然ですが、罰し方や罰する度合いが色々あり、犬によって使い分けが必要という意味ではありません)犬が失敗してしまったときは、いつも犬を叱る、いつもNo Reward Makerを使うなど、「いつも決まった同じ対処」をしているならば、トレーニングについての知識をもっと深める必要アリです!

いつも叱ったり、No Reward Markerを使ったりしているとすれば、失敗は改善されず繰り返されているということ。その対処は適切でも効果的でもないということです。犬の行動の失敗の理由が「犬の中にある」と考えていると、改善させたい問題は改善されず、トレーニングもうまく進みません。犬の失敗の原因は犬以外のところにあります。犬を責める前に見直すべきことがたくさんあります。私たちができる対処や準備はたくさんあります。自分自身の判断や行動、対処が、犬に間違いを繰り返させている原因となっている可能性を常に意識しましょう。犬を決めつけず、幅広い知識を持つことをこころがけましょう。

いいトレーニングは静か

ハンドラーの声も動作も小さく、必要最低限!いいトレーニングとは静かなのです。トレーニングのときの、ご自身の振る舞いはいかかでしょう? 犬たちにわかりやすいでしょうか?


他に犬がいない場合には、次の動画のようにディストラクションを加えて、セルフコントロールの練習することができます。他の犬に反応しやすい犬の場合は、こちらの方法でたくさん練習を重ねることをおすすめします。他の犬をディストラクションにしての練習をするのはそのずっと後。ハンドラーが急にダッシュしたり、目の前にボールが転がってきても反応せず待機し続けられるようになってから。

ご紹介するのはSmart Dogsのオーナー/ヘッドトレーナーMaryの動画。彼女のトレーニングは、いつも静か。動作や姿勢に無駄がなく、落ち着いていて、実に美しいです。犬たちにとってもわかりやすく、安心しやすいはず。動画の中の彼女の動きもぜひお手本に。

Distractions for Wait / Stay with Piglet & Geronimo

by Mary A. Gilbreth, PhD, CPDT, OSCT, CAP1 (SMART DOGS)


ご紹介した動画に出てきた犬たちだって、はじめからこんなことができたわけではありません。不安や気になる刺激のない場所で、ほんの数秒間姿勢を維持することからはじまり、その姿勢を維持する指示の言葉を理解し、少しずつ時間を伸ばし、周囲の刺激を強めていき、練習して練習して練習してここにたどり着いています。その犬が成功を重ねながら、理解できるようステップバイステップで進めること、繰り返し練習することなしにできるようになることはありません。トレーニングは、焦らず、諦めず、続けることが大切。楽しくなくては続けられませんから、人も犬も楽しみながらやることもとても大切です。

, , , ,