ClickerExpo 2012 Nashville – 3. オープニングセッションとクローズセッション

オープニングセッション

開場を待つ参加者。

KPCT代表Aaron Clayton氏によるClickerExpo開会宣言。今回の参加者は200名以上。全米各地のみならず、海外からの参加者も。イギリス、デンマーク、オーストラリア、フランス、中国など。日本からの参加は私一人でした。

続いて、Ruffle Ticketの使い方を、TAGteach International, LLCの共同創立者であるTheresa MacKeon氏とAaron氏がデモ。そして、Karen Pryor氏のオープニングスピーチ。

今月14日に80歳を迎えられたそうですが、とてもその年齢には見えない若々しさでした。彼女のスピーチの中で印象的だったのは、「他の人の経験を聞くことは、とても大きな財産になるので、ClickerExpo中講師からだけではなく、他の参加者からもたくさん話を聞いて学んでほしい」という言葉。報酬ベースのトレーニングが多くの人の知恵と経験によってよりよく発展していくという考えに、私はとても共感しました。

スピーチの中で犬連れでの参加者への注意もあり、「犬が苦手な犬もいるので、他の犬が好きな犬 (Friendly Dog) ほど注意を。自分の犬が他の犬のところに行ってしまって、叱らなければいけない状況になったとすれば、それは飼い主がミスを侵しているということです」など、周囲と愛犬の双方に配慮した管理責任がハンドラー(飼い主)にあることをしっかり伝えていました。

クローズセッション

クローズセッションは、フロリダ大学の心理学教授であり、インディアナ州にあるウルフパークの研究ディレクターも務めるClive Wynne氏の講話。

「どうしたら犬たちの暮らしを向上させられるか」について統計や実験の結果から考えていくという内容でした。

アメリカの犬の10頭に1頭がシェルターにいた経験を持ち、シェルターにいる2頭に1頭が安楽死させられているという現実。新しい家族を得られる犬と安楽死させられる犬の分かれ目は何か、シェルターにいる犬たちが新しい家族を得る(アダプトされる)ためにどんな手伝いができるか。

シェルターにいる犬たちを3つのグループに分け、それぞれアイコンタクトを食べ物を使って教える、ただ手から食べ物を与える、何もしないという実験を行なったところ、アイコンタクトを教えたグループのアダプトされる率(新しい家族が見つかった率)がもっとも多かった。

統計を取ると、新しい家族を得られるのはトイブリードがほぼ100%なのに対して、ピットブルは50%以下に留まる。また、色から見ると、極端な差ではないが黒がシェルターにいる日数が最も長く、最も短かったのはグレーだった。

シェルターに訪れた人に首からビデオカメラを下げてもらい観察する実験によると、各犬の部屋の前にいるのは13〜17秒。つまり、人々は17秒以下で犬を決めていることがわかった。

これらのことから、人の目を見るという行動や容姿など、かわいらしいと感じられることが人を引き付ける魅力となり、アダプトの可能性を高くすることがわかる。

また、人との関わりが遊びを促進するかどうかの実験も紹介され、興味深いものでした。人が管理しているオオカミ、コヨーテ、オオカミ犬のそれぞれの生活環境の中に人がある程度の時間入る、出るを繰り返し、人がいる間と人がいない間の遊びの変化を観察。

オオカミは人がいるときよりも、人がいなくなった後の方が遊びが増える。コヨーテは人が去ると遊びは少なくなり、人がいるときに遊びが増える。オオカミ犬は、人がいる時の遊びが極度に増え、人が去った後もしくは人がいない時の遊びも少し増える。

このことから、人の管理下にあるイヌ科イヌ属において、人との交流は環境エンリッチメントに役立つ可能性があり、管理する人が注意を動物たちに向けるによって、動物同士の社会的な遊びが維持されている可能性があることがわかる。

つまり、犬たちが新しい家族を見つけるためにも、見つかるまでシェルターにいる間の生活の質も「犬をトレーニングすること」によって手伝える可能性がある。

そして、フィナーレへ。

Karen Pryor氏とClive Wynne氏。

講師たちも壇上に集合。

そして、全員のスタンディングオベーションでClickerExpoは幕を閉じました。

,